第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
「説教、終わったら、俺の処に来て」
耳元で囁かれた穏やかで甘やかな声音。
いつも素っ気なくて、冷たかった物言い。
初めて聴く優しい声音。
(家康……)
嬉しくて、胸が詰まる。
「泣かないでよ…」
「ぁ…嬉しくて……」
「…ぁ、そ…」
と言って家康が涙を拭ってくれた。
その「ぁ、そ…」は素っ気なく聴こえなかった。
手を繋いで城まで帰った私と家康。
そして、私は秀吉さんに長い説教をもらった。
「ぁいたた〜足、痺れちゃった〜。
お腹空いた〜。
もー…今度は早く帰ってくる!」
独り言を窓から暗い空に吐き出して、部屋に戻る。
独り、部屋で今日の事を思い出した。
(家康と、両思い、なんだ…////)
顔がニヤケた。
ほっぺた、押さえてないと、落ちて来る気がする。
嬉しくて、ドキドキして今夜は眠れないと思う。
(どうしよう〜)
独り転がって悶える。
そのまま、睡魔に襲われて、家康の部屋に呼ばれていたのを朝起きて思い出し、青ざめた。
けど、
私は何故布団に寝ているのか……。