第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
息をしようと開いた唇の隙間から、
舌を挿し入れた。
もっと、華月を感じたくて。
意識的で無意識に。
夢中で……。
(もう…これ以上は……)
「駄目だ……」
グッと軀を離した。
止まれなくなる。
抑えられなくなる。
お互い、愛欲が露わになった顔が、
近く、見える。
「ごめん…」
「ううん……」
どう言う態度でいればいいのかわからなくて、困る。
色香を纏った華月が見上げている。
(本当は、まだこのまま…)
「もっと、一緒に居たい……」
「⁉︎」
俺の心を代弁したのかと思った。
華月も同じ様に思ってくれている事、とても嬉しかった。
けれど、
「駄目、帰るよ…」
理性を総動員させてそう言った。
華月の気持ちが萎んでいくのが見て取れる。
叱られた子犬みたいに。
「秀吉さんの説教が長くなるでしょ」
「……うん…」
(それに、こんな場所で、アンタを抱きたくはないんだ)
「華月」
手を繋ぐ拍子に囁いた。
「説教、終わったら、俺の処に来て」
自分でも驚いた。