第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
(私も、好き…)
気付いたら好きだった。
嫌われてるんじゃないかと思って
怖いと思ったのに、
分かり合えないと思ったのに…。
言葉が足りないだけだと気付いた時、
貴方の優しさを知ったから。
それから、砂漠の砂山を滑り落ちるように、
私はズルズルと家康に落ちていたんだ。
視線の先には家康が居る事が多くなった。
「家康は…私なんか好きにならないと思ってたよ」
「俺も、そうだと思ってた。
アンタみたいに鈍臭くて、それでも一生懸命で、太陽みたいにいつも明るいアンタなんか、理解出来ないし……でも…だから、気になって、理解してみたくなった」
暗くなってきて、深い翠に見える家康の瞳。
その瞳が真っ直ぐに私を見る。
こんな風に眼を合わせてもらえるなんて、思ってなかった。
「私のこと…解ろうとしてくれる?」
「…そうだね…アンタのココから俺への気持ちが伝わるから……」
(ココ…)
家康の人差し指が唇に当てられ、
再び、キスされる。
温かい唇に啄まれる。
チュッ、ちゅ、ちゅ…チュッ…チュパッ…
温かい、は 熱いに変化してゆく。
そして、息苦しくて……ぅぅん、
キスが気持ち良くて…
夢中で……
息が乱れ始めた。