第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
華月がもの凄く熱っぽい顔になっていた。
コッチまで当てられそうな程。
色気と言えば聞こえはいいのか。
(その物欲しそうな顔…やめて…)
俺の心の臓がドクドクと早鐘を打つ。
軀の奥から熱くなる。
此処、道の真ん中なのに…。
堪えられなくなる。
抑えてた分、その気持ちが、
抑えられなくなるーー…。
「ぁ“ー…もうっ、ちょっと来て…」
俺は華月の手をグッと引っ張った。
薄暗くなり、宵が先に来たような細い路地に早足で、縺れる様に押し入った。
長屋の外壁に華月の背中を押しつけた。
「…い…家康…?…」
「秀吉さんの小言は俺も一緒に聴くから…」
(ちょっとだけ…2人で…このままで…)
ん…
さっき知った柔らかな唇に再び口付けた。
チュッ、チュッ…
優しく口付けたつもりだったのに、
ちょっとのつもりだったのに、
(酒が回るみたいに…)
もっとーー…もっと…
際限無く、
欲しくなる……。
(華月、華月…好きだ…)
「…好きだ…」
口付けの間に、息をする間に、溢れた想い。
「チュッ…ん…チュッ…
私も…家康が、好き……」