第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
それから私は指折り数えるように家康の帰りを待った。
毎日門の前で待って、ようやくその日がやって来た。
立ちっぱなしで足が痛くて私はしゃがんでいた。
疲れてしゃがんでいるのだろう。
門の前にいるのは華月だ。
もうすぐ日暮れだ。
まさか、朝からずっとあそこにいたのだろうか。
(馬鹿なの?)
馬の蹄の音に華月が顔をあげた。
そして、心底、安堵した、みたいな顔をしてから、花が満開みたいに笑った。
疲れを全部吹き飛ばす様な笑顔。
そして、スクッと立ち上がると、
「家康ぅ‼︎」
ブンブン手を振る。
「本当、馬鹿」
俺は苦笑した。