第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
「秀吉さんと、家康…はいつ頃帰ってくるのかな」
「華月、家康となんかあったのか?」
「え!な、なんで⁉︎」
「家康って言う時、憂鬱そうだった」
「!えぇ!
そ、そんな事ないよっ!」
「ふーーーーん…俺の勘違いか?クク」
含み笑いを向けられ、居た堪れない。
「まっ、いっか。
3日後には到着だそうだ」
(3日……)
ソワソワした3日が過ぎた。
「秀吉さん!おかえりなさい‼︎」
私は門前まで迎えに出て、
今か今かと待っていた。
「ああ、迎え、ありがとな」
キャアキャアと取り巻きの美女達が秀吉に群がっていて、容易に近寄れず、門の内側で待っていた。
「秀吉さん!おかえりなさい!」
「おう、華月、出迎えありがとな」
「怪我はない?」
「ああ、負傷兵も少なくて早く帰って来れた」
快活に笑う秀吉には疲れた様子はみえなかった。
「あ、ねぇ、秀吉さん、…い、家康、は?」
なんでいないのだろう。
(怪我したとか⁉︎)
心配と不安で動悸がすごい。
握った拳の中は汗を握っている。
「家康は」
(家康は?)
「三河領に寄って帰ってくる」
「み……け、がは?」
「家康には怪我はない。
お前が家康の心配するなんてな」
「え…」
不自然だったかな?とちょっと焦った。
けれど、
「険悪なんだろうと思ってたから、安心した」
秀吉さんが優しく安堵の笑顔を見せ、
ポンッと頭に手を置いて行った。