第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
そして、幾週かが過ぎた。
戦は勝利に終わった。
負傷兵はそれなりに出たが、多くはなかった。
凱旋の列が安土に向かう。
俺は独り三河を回って安土に向かうことにした。
「華月、家康と秀吉が戻って来るぞ」
政宗が教えてくれる。
「俺だったらもっと早く終わらせられてた。
だろ?」
目配せして同意を求めてくる政宗。
「知らないよ〜」
「なんだ、連れねーなぁ」
軽口をたたいて笑う政宗。
政宗はいつもこんな感じで労ってくれる。
「早く終わったら、早く無事な皆の顔見れるね」
(家康…怪我してないかな)
「ねぇ、早く終わったら、負傷者も少ないの?」
「ん?
まぁ、そうなるな。
長引くほど、兵力を投入し続ける事になる。
長引けば1人の戦闘能力、集中力は低下し鈍くなりやられ易くなる。
だから、早く終わるに越したことはない」
政宗が簡単に説明をしてくれた。