第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
(いつも、見ててくれたんだ……)
私が無理しないよう、
頑張り過ぎないよう、
出来ないことは出来ないって言って良いんだって、言ってくれてた。
(ごめん、ごめんね、家康っ…私…)
情けなくて、涙が溢れた。
(言葉が、足りなさ過ぎるよ…)
「家康…私の事、ずっと、心配してくれてたのに…ごめんね…。解るのが遅過ぎたかな…」
「遅いけど…アンタは悪くはないでしょ」
「嫌いになれたら良かったんだけど、
アンタの呑気さとか、馬鹿みたいに明るい処とかが、妙に眼について…」
気にしないようにと思えば思うほど、気になった。
馴れ合いたく無いからキツい言葉で遠避けようとした。
けれど、
どんな形であれ、一度心の隅に留めてしまったのが運の尽き。
「ちゃんと帰ってくるから、待ってて」
そしたら、ちゃんと話すから。