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≪イケメン戦国≫ 君と詠う愛の歌 SS

第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)





「戦、ですか⁉︎」
戦が起こる。
小競り合いが大きくなった。
「秀吉、家康、手分けして当たれ」
信長様からの命令が下った。
3日後には出立する。
用意の為、後殿に詰めていた。

そんな処に華月が尋ねて来た。

「何しに来たの」
とても冷たい声になった。
俺もそれなりに気を張り詰めているからだ。
「家康…前線なの?」
心配そうな表情に小さな声。

(なんで俺なんか気にするの)

「さあね、政宗さんじゃないから自ら斬り込んでいく事はしないけど?」
「……コレ…」
震える声と、震える指先で、
何かを差し出して来た。

「何、コレ…」
「…御守り…の、ワサビ…」
「は?」
「生きて、帰って来て欲しいから…」
グイッと押し付けると華月はクルッと背を向けた。

「こんなの、要らない」
「でもっ、持ってって欲しいのっ。
私は行けないからっ」
「こんなのなくっても、この間の袖なしの羽織を着て行くから、大丈夫」
「え…?」
「羽織、アンタが繕ってくれたんでしよ。
アンタが泣くから、ちゃんと帰ってくる」
「泣いてなんかないよっ」
「嘘、いつも、俺といる時は泣いてる」


(君の声が泣いて聴こえるんだ…)







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