第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
「全快!ふぁぁ〜もう、眠れない!」
体調が回復した華月は上機嫌に饒舌だった。
「ちょっと、全快とは言ってもアンタ、病み上がりなんだから、無理は禁物だからね」
俺は尽かさず釘をさす。
「また、倒れられたらたまったもんじゃないよ」
「わかってるっ、気をつけるね!」
わかってるんだか、わかってないんだか分からない…。
ま、でも一安心していた。
暫くして、
私は御殿にやって来た。
「家康、入るよ?」
静かな部屋を抜けて縁側を見ると、
日向でワサビと家康が居眠りしていた。
「ふふふ…可愛い…」
つい微笑んでしまう。
(起こさないで帰ろう)
私は家康の膝の上に風呂敷包を置いて立ち去った。
(家康の寝顔、幼くて可愛いかった)
いつもならけっして、けっして、
見る事の出来ない家康の無防備な寝顔に私の胸は凄くドキドキした。