• テキストサイズ

≪イケメン戦国≫ 君と詠う愛の歌 SS

第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)




俺は薬差しを華月の口に入れ、傾けた。
多くを溢した。

(多くは飲まなかったな)

それでも、俺はずっと傍らにいた。

次の日も、その次の日も華月が眼を覚ましていない間は傍らについていた。
華月の高熱は5日程続いた。


「華月様、大丈夫でございますか?
熱も少しずつ下がっております。
何かお召し上がりになられますか?」
侍女が尋ねるも、華月は「欲しくない」と言っていた。
「入るよ」
「家康様っ」
侍女が慌てて頭を下げる。
「かしこまらなくていいよ。
華月にこれ飲ませて寝かせて」
「家康」
華月が掠れた声を出す。
「薬湯だから」
「ありがとう…」
「ひどい顔、見てらんない」
俺の言葉を聞いた侍女が絶句している。
「…うん……」
華月が苦笑いを浮かべて俺を見る。

((だから、早く治せってこと))



襖越しに侍女が華月に薬湯を飲ませている声が聞こえた。

(家康…ごめんね…私……)


華月はまた眠った。








/ 803ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp