第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
威勢よく飛びかかってきた、小汚い男達は地面に伸びている。
短刀の柄を急所に叩き込んだ。
だって、素手だと拳が痛いから。
短刀を懐にしまうと、
棒立ちの華月に向き合った。
「弱いのに独りでフラフラ出歩かないで」
俺は考え無しの華月を脅す様に叱った。
「死んだら困るだろ」
「死なないよっ!」
あんな目にあったのに、それでも俺に楯突く。
(何も知らないくせに)
俺は苛立って更に声を荒げた。
「死ぬんだよっ!」
華月がビクッと肩を竦める。
それでも、
「人はそんなに弱くないよっ」
反論してくる。
苛々する。
「俺は、人の意思の話を言ってるんじゃない。
物質的、肉体的な弱さを言ってるっ
アンタが思うより人は、すぐに、簡単に死ぬんだ!」
あっという間に息絶える。
そんな人を沢山 見て来た。
俺はそうならない為に強くなろうと努力してきた。
(アンタには解らないッッ)