第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
橋の下。
流れ者が溜まる、良くない場所だ。
「アンタさ……何やってんの…」
背後から呆れた声をかける。
「家康っ!」
明らかにホッとした表情で華月は俺を見た。
(ホッとするくらいなら、首突っ込むなよ)
「何だコイツ」
「邪魔すんなよ」
「お前なんか、すぐヤっちまうぞ‼︎」
男達が威嚇してくる。
「…邪魔、したくはないんだけどね…」
ハァ…とまた俺は溜め息を吐く。
「その娘、連れて帰らないと困るんだ…」
(面倒、ホント面倒……
この娘といると面倒事が増えるから嫌だ…)
「だから、今のうちにコッチに渡してくれる?」
「ハァァ?誰に向かってモノ言ってんだ‼︎
歳上に頼む態度じゃないだろ」
「歳上とか関係ないし…
物取り風情になんで俺が…」
「物取りだぁ?
俺らはなぁ〜「どうせっ」」
汚い男の話を強く遮って続けた。
「その子、売ろうと思ってたんだろ?
物取りじゃなくて、人攫いか、悪かったよ」
鼻で笑う。