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≪イケメン戦国≫ 君と詠う愛の歌 SS

第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)





初めての戦場で初めての救護。
わからないなりに一生懸命にやっている。

俺は、もっと気楽にやったら良いという意味で言ったのだったけれど。

「……適当に休憩しなよ」
黙々と作業を続ける華月に背を向け、天幕へと向かった。

何となくスッキリしない気分だった。
別に悪い事言ったわけでもないのに…。




それからも、華月の事が気になって、
見かけては
「なんでも頑張り過ぎなんじゃない?」
「もっと要領良くやりなよ」
「無理なら手伝ってもらいなよ」

助言も兼ねて、華月に声を掛けていた。


そんなある日、
「家康、私、そんなに駄目かな?」
華月が切り出してきた。
「え?」
「この世界の人の常識もないし、
弱いかもしれないけど……全力で何かするの、駄目な事なのかな…?」
いつも笑ってる華月の顔がみるみる曇っていく。

「はぁ?俺がいつ駄目だって言ったの?」

誤解だよ、と優しく言ってやればいいのに、
つい、喧嘩を売るみたいな言い方になった。

「言ってるよ…」
「言ってない」
「言ってるっ」
「……はぁぁ〜…」
俺の溜息に華月がビクッと軀を硬くするのが分かった。
「勝手にしなよ」
「〜〜〜っ」
泣きそうな顔を赤くして、華月は調薬室を出ていった。







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