第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
俺、人の気持ちに鈍感なんだ。
だから、言ってくれなきゃ、解らない。
独り、強くなる事だけ考えて生きてきた。
誰にも頼れなかった。
皆、敵だと思ってた。
だから、強くなって見返して、
嘲笑ってやろうと思ってた。
でも、弱い奴、負けた奴を見ると、
昔の自分を思い出すから、まともに、眼を合わせられなかった。
だから、逃げてた。
人の心と向き合うことに。
自分の心と向き合うことに。
「アンタ、無駄に一生懸命だね」
呆れた様に言った俺に、
「一生懸命って悪いことかな?」
俺を見ないまま、華月がそう言った。
声が震えてるような気がしたけど
(気のせいかな?)