第38章 その手をいつまでもーR18ー(幸村)
小さくて可愛い唇。
大きく開いて弾けるような笑い声を上げる唇。
色付きのリップクリームを塗ってみせて来た小学生の唇。
薄い口紅を塗っていた高校生のある日の唇。
化粧をして大人の赤を引いた成人式の唇。
全部知っていた。
けど、全部知らなかった。
初めて触れる。
「華月っ、華月ッッ…ンッッ…」
気持ちが急いて、息もままならなくて、
噛み付くように何度も唇を食む。
ちゅっ、コカッ、コッッ…
「ンッ!ちょ…幸っ…んぅん…」
前歯が当たるのも構っていられないくらい、
必死だった。
「幸っ!」
「なんだよ…」
「私、いなくならないよ?
ちゃんと、受け止めるから……
ゆっくりシよ?////」
「…悪りぃ…」
1人焦ってるみたいでかっこ悪い。
しょぼくれていると華月が手を重ねて来た。
「キスも初めてなんだよ?
全部、幸とが初めてだから…
どうしたらいいか、教えて…」
(全部、初めて…)
一旦引いた興奮と歓喜の波が、再び押し寄せる。
(俺の華月っ)
「離さねぇ」
力一杯抱きしめた。