第38章 その手をいつまでもーR18ー(幸村)
そこここに、地震の被害は見られるが、
皆、復興復旧に向け動き、
それぞれの生活に戻り初めていた。
俺達もすぐに大学が再開し、日常が戻っていた。
「もう一か月だね。
幸、背中の怪我、どう?」
「もう、それ程痛くもねーよ。
なんなら見てみるか?」
申し訳なさそうな華月におちゃらけてみせる。
あの日、俺が華月を庇ってから、
華月は俺に負い目みたいな、
罪悪感みたいな、
そんなモノを抱えてしまっていた。
日が落ちる前の鈍い太陽の陽が差す俺の部屋。
短い沈黙。
「……見る……」
「え…」
「見せて?」
華月の眼は
意を決したような、
鬼気迫るような、真剣な眼。
それが、真っ直ぐ、俺を見ていた。
その眼と気迫に負けて、
俺はシャツを脱いで背中を華月に向けた。