第38章 その手をいつまでもーR18ー(幸村)
大学になって幸くんとまた一緒になった。
学部は違うけど同じ大学だ。
「幸、今日は一コマからだったっけ…」
昼前に大学のカフェテリアを覗く。
「幸っ」
「よっ、4コマからか」
「3コマ空きだったんだ?もっと早く来れば良かったなー」
「座れよ」
「ん」
いつも通りの会話。
他愛もなくて幸せな瞬間。
うふふふふふ
「なんだよ、気持ち悪いなぁ」
「ひどいっ!せっかく幸せだなって思ってたのに〜!」
「俺と居るのが、か?」
問う幸くんの眼はいつになく真剣に見えた。
幸くんの整った顔が、真っ直ぐな瞳が私を見ている。
(ドキドキする…)
返事をしようと口を開きかけたその瞬間。
グラッ…
ガタガタガタ…
近く、遠く、周囲、視界、全ての物が揺れて音を立て始めた。