第38章 その手をいつまでもーR18ー(幸村)
わぁぁ〜
キャァァー〜っ
イヤァ〜
叫び声、慌てる声がする。
見回せば、家々に火の手が上がっている。
声は、逃げ惑う人々の声だ。
「お母様ーーっ‼︎」
声を上げて手を伸ばす。
‼︎‼︎
その手に燃え落ちてきた木材が当たった。
「あっ!つぅーー」
手を引っ込めたけれど、母を追ってまた伸ばした。
爛れた手の甲など気にしていられなかった。
「華月、逃げるぞ!」
父は家から離れた。
けれど、私は諦められなくて
何も出来ないのに、なんとかしようともがいていた。
「嫌っ!母様〜っ!」
「華月っ!何やってんだ‼︎」
聴き慣れた声に顔を上げた。
「幸っ!
幸っ‼︎母様がっ、母様が中にッッ!
助けなくちゃっ!」
「馬鹿っ!無理だ!お前まで死ぬ気かよ⁉︎
来いっ!」
「ヤダっ!幸っ!」
「いいから、来い!行くぞっ‼︎」
男の力で引っ張られ、無理矢理その場から引き離された。
母を呼んで、泣いて泣いて……
「⁉︎……泣いて……る…?」
なんの夢だったんだろう。
ノロノロと起き出して支度をした。