第36章 死に損ないの嫁ぎ先ー後ー(元就)
戯れの雰囲気でも、
甘く艶やかな雰囲気でもない。
剣呑と張り詰めた空気。
元就が動いた。
華月へと一歩膝を擦り出し、
手を伸ばし、一瞬、腕を掴み押し倒した。
「‼︎」
ドサッ……
動いた空気はまた再び止まって、
ジッと纏わりつくように張り詰めた。
華月は眉を釣り上げた元就を見上げている。
「何で拒まない?」
元就は華月を組み敷いた形で見下ろしていた。
「……」
2人の真っ直ぐな視線で見つめ合う。
いや、睨み合う。
「何で、拒まなかった?
何で、何度も俺に抱かれた?」
苦しそうな元就の顔。
(何で?そんなの…)
「じゃぁ、何で、私を抱いたんですか?」
何故か怖くて声が震えた。
(何で…華月を?)
元就は考えたことなどなかった。
だがら、答えに詰まった。