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≪イケメン戦国≫ 君と詠う愛の歌 SS

第35章 死に損ないの嫁ぎ先ー前ー(元就)




最初の様子からは思いも寄らないほど、
華月は天真爛漫で快活でだった。
教えれば負けん気で心棒強く喰らいついてきて、身に付けるような女だった。

元就について船に乗り、馬を習い、
寧について薬をならい、
炊事も出来るようになり、
随分逞しくなった。

華月はもう両親を亡くす前のような箱入りの姫ではない。
もう、自分で考え、生き抜ける程になったと、元就は思っていた。


男の扱い方も仕込んだ。
男を角交わしたり、悦ばせることも教えた。







ある日
山の上、展望の岬。
風が強く吹いて、雲が流れてくる。
「明日は雨ですね…」
「……なあ、華月」
「はい」
明朗な返事が返って来た。


元就は流れ来る鼠色の厚い雲を睨み
「……お前…出てけ」
と静かに言った。


短い沈黙があって、強い風が吹いた。
「明日から雨になるな……」
「そう…ですね……」
再び沈黙が訪れた。
長くて短い沈黙。
「出て行け、ですか…
嫁げ、ではなく?」
華月は声が震えた。


(私は何処に行けばいいのかな…?)





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