第35章 死に損ないの嫁ぎ先ー前ー(元就)
『お前達はここで果てるのだ。
それとも、俺に付くか』
ギラギラと反抗の瞳を向けて、睨んでいた。
傘下に入りはしない、命乞いもしないだろうと思った。
『……』
『我らは家臣も少ない、家は絶えても、其方には付かんっ!』
『そうか…まぁ、そう言うだろうと思ってたぜ』
『ひとつだけ…娘の華月だけは、
この世に残したい。
我らが生きた証として』
親の眼をしていた。
『フッ…その娘だって、いずれ、歳を取れば死ぬんだぞ』
鼻で笑っても、
『良いんじゃ、それでも…』
『じゃ、俺が適当に嫁がせてやる。
お前の冥土の土産にな。クククク…』
そう言って俺は、命は3日後に貰う、と告げ別れた。
逃げも隠れもしないだろう。
そう見込んでのことだ。
その翌日、
入水する華月を偶然助けた。
俺は明日、大将の命を、
華月の父の命を
貰いに行く。