第33章 言葉にして…ーR18ー(光秀)
町中でも気にせず手を繋がれ、
茶屋や食堂に入れば
「あーん、しろ」
と言われ、買い物をすれば
「欲しい物はなんでも買ってやるぞ」
と言われ、
(つ…疲れる…)
確かにこういう逢瀬、
労ってもらえる、
怒らなくても良い、
むくれなくて良い、
穏やかな日常に
愛情を感じたいと望んでいたのだけれど…。
(はっきり示される愛情って、意外に重いのかも…)
そんな事を思いながら、済ませた夕餉の膳を運んでいると、
「華月、それを置いたら部屋に来い」
光秀が華月に声をかけた。
「今日は夜も居るんですね」
「ああ、お前を構う為にな」
意地悪じゃなく、フワリと微笑まれて、
華月は疑えなくなった。
(…私の為にわざわざ?)
揶揄われていないんだと思うと、
何故か一気に顔に熱が集まる…