第32章 春、籠いっぱいの甘味ーR18ー(三成)
「ただいまー。
政宗、これ摘んできた野苺だよ」
城に帰った私達は政宗を探して、
籠いっぱいの野苺を渡した。
「おっ、
案外早い御帰還だな。
もっと遅く帰って来ると思ってたが」
政宗は三成くんから野苺の籠を受け取りながら、ニヤニヤと人の悪い顔で私を見る。
「エッ」
素っ頓狂な声が出てしまった。が
三成くんは
「遅くなると軀が冷えますので」
と真面目に答えた。
「ふーん…道に迷うんじゃなくて、軀が、ねー」
三成くんの真面目な答えの揚げ足を取って、
更に悪戯な笑みを深めた政宗。
「まっ!政宗っそ、そ、ソレっ、ソレでっ、
何作ってくれるの?…かな…ッッ」
(しっ、しまったっ、声裏返っちゃったっ)
焦って声は裏返るし、吃りまくって、
墓穴を掘った気もしないでもない私は、
それでも話題を逸らそうと必死だった。
「クククク…明日のお八つ、楽しみにしてろ。美味い甘味作ってやるよ」
(み…見透かされてる、よね…)
もう、どう言う顔していいか分からない。