第32章 春、籠いっぱいの甘味ーR18ー(三成)
女の私でもドキッとするくらいの男の色気のある表情。
コクリと喉がなった。
「え……と…三成くんと、いれる、ンッッ」
赤い野苺が口に押し込まれていた。
「私もですよ、華月様。
こうやって貴方と過ごすのはとても幸せです」
そう言って微笑む三成くんの笑顔は幸せと言うよりは
まるで、何か悪巧みをしている人の、悪い笑に見えた。
私の何が三成くんを煽ったのか、
挑発したのか、全く分からない、けれど、
身の危険、ここであってはいけないことの予感を感じさせた。
「…み、三成くん…あの…お弁当…」
「まだ、そちらに気がありますか?」
「……え……」
三成くんを見れば、眉を寄せたちょっとムッとした表情で、視線を逸らされてしまった。
(何だろう……)