第32章 春、籠いっぱいの甘味ーR18ー(三成)
「華月様、口を開けて下さい」
「///ぅーーーぁあ〜〜んっ」
甘酸っぱい野苺の実がプチプチと弾ける。
「おいしぃ〜」
甘味の少ないこの戦国の世で幸せな瞬間の一つ。
「…三成、くん…」
「はい」
「三成くんも…ぁー…く、口、開けて?」
「!はいっ」
華月の言葉に三成はとても嬉しそうに笑ってから、口を開け、腰を屈めた。
届き易いように。
「……モグモグ…美味しいですね!」
紫の瞳が更に細められた。
(かっ、可愛い過ぎるよ、三成くんっ)
それからどのくらいか、
時間を忘れて野苺を摘みながら、口に入れ、
口に入れながら、摘んだ。
各々、大きめの籠にいっぱいになった。
「わぁ…手が真っ赤だ…」
熟した野苺は潰れ易く、何個も潰して口に放り込んだ。
「私もです。
下の沢で洗いましょうか」