第31章 春待ちて氷柱落つー後ー(秀吉)
兄様の代わりにこの優しい人を愛そうと思った。
妹のように想ってくれていた私を、
本当に愛してくれようとしている。
苦しいだろうに傍に置いて、
なんとか生かそうとしてくれた。
この優しい人は、
なんとか私の心を抱き締めようとしてくれているようだった。
刺々しかった私の心の氷が溶けて落ち始める。
春が来れば必ず氷柱は溶け落ちる。
今はまだ、言えないけれど、
いつか
「お嫁さんにして下さい」って言えたら良いなと思う、気持ちはある。
何度目かの春が来た。
「華月、いいか?」
「にぃ…じゃなかった、秀吉様」
縁側で桜を見ていた処に秀吉様がやってきた。