第31章 春待ちて氷柱落つー後ー(秀吉)
「…それって…」
「あぁ、俺に嫁いでくれ。
他の誰にでもなく、俺に」
華月が泣いてくれていて良かった。
恥ずかしくて顔を見てまともにこんな事言える気がしなかった。
「…作法も知らない」
「教える、習えばいい」
「美人じゃないし…」
「お前は可愛い。でも、
俺はお前の容姿に惹かれた訳じゃない」
「でも…」
華月が断る理由は全て解消する。
逃げ道は断つつもりだった。
「兄貴が死んだ事を酷く哀しんで、俺を憎んだ。それはお前は心が真っ直ぐだからだ。
小さい時から俺を慕って笑う笑顔が好きだった」
「…////藤吉にぃ…」
「他に断る理由は?」
「……わからない…」
「ない、じゃなくて分からない?
まだ、断るつもりか?」
「……分からない…」
「お前なぁ〜…」
「だって…」
(藤吉にぃだし…)