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≪イケメン戦国≫ 君と詠う愛の歌 SS

第31章 春待ちて氷柱落つー後ー(秀吉)




「…華月、村に帰るか?…
それとも……嫁に行くか?」
ポロッと口から溢れていた。
「………今度は何処へ…」
「お前、可愛いから、嫁けると思って…探してやるぞ?」
「………」
華月が険しい顔になる。
「いや、その、嫌なら。
ちょっと思っただけだから、気にするなっ」
「…秀吉様…私は名もない農民の女です。
大名や武士の誰が、そんな女もらってくれると思うんです。
辱めたいんですか⁉︎」
呆れ気味だが、震える声。
「いや、悪い、そう言う訳ではなくてっ、だなっ、そのだだ…」
「私なんて、何処かにやる価値もない。
邪魔なら村に帰して下さい!」
ギュッッと唇を引き結んでいるが、
泣きそうで顔が真っ青だ。


「す、すまない…今の事は忘れてくれ」
「秀吉様は私をここに置いてどうしたいの?」
俺の謝罪に対して、華月はそう一言を残して部屋を出て行った。





解らない。
解らなかった。
秀吉様は私に死ぬなと言った。
『ここに住んで、生きろ』と。
『俺が生きる意味を与へてやる』とも。

何故、私を生かそうとするのか。
私が生きて秀吉様のなんの役に立つ?
明確な意味を与へられないまま、今日まで側にいて、突然『嫁ぐか?』と言われた。

秀吉様は何を考えているの?







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