第30章 春待ちて氷柱落つー前ー(秀吉)
そして、2度目はまだ手首の包帯も取れない内だった。
散歩に連れ出した華月が珍しく口を開いた。
「福寿草は毒があるですって。ほら、アソコ」
(まさか…)
フラリと歩いてゆくと、手に取り
「待てっ!喰うなっ」
一瞬遅かった。
菊にも似た黄色い花が咀嚼され、
次瞬、華月の軀が く の字に折れ曲がり嘔吐した。
苦しげに呼吸すらままならない華月を抱えて家康の元に走った。
「秀吉さん、この子誰?」
「妹」
「秀吉さん、妹なんていましたっけ?」
「あ…それは、その「とりあえず。解毒湯は飲ませました。後はこの子の気力次第ですが…」
「ああ」
「でも、この子……死なせてあげたらどうですか?」
家康の言葉に俺は一瞬言葉を失った。
「…な…」
「だって、手首も。自害これで何度目です?
生きたくないなら無理に生かすのも可哀想ですよ」
辛辣な助言。