第30章 春待ちて氷柱落つー前ー(秀吉)
酷い、酷い…
「酷いよ…こんなの……ゔぅぅ…ぅぇ…ぅわぁ"ぁぁーーっ」
私は平伏(ひれふ)して、額を地に擦り付けて、砂を握って地に泣き伏した。
(兄様…兄様…にぃ様……ッッ…)
泣き疲れたら眠れると思ったのに、
深夜になっても眠れなかった。
涙も枯れなかった。
枯れたのは生きようと思う気持ち。
誰も居ないこの世の中で、
何の為に生きるのか。
待つ人は居ない。
私は兄様の為に生きて来た。
「…もう…私には…生きる意味がない…」
私には兄様しかいなかった。
その兄様がいないなら、私はー…
生きていても仕方がない……。
そう思った瞬間、
生きる気力がなくなった。
どうでもよくなった……。
心が凍り付いた。
流れた涙は氷柱みたいに心に凝り固まっていった。