第30章 春待ちて氷柱落つー前ー(秀吉)
(見つかった⁉︎)
嬉しくて嬉しくて涙が溢れてきた。
「よか…たっ…ッグズ…ぅぅ…」
顔を覆って泣く私には秀吉様がどんな顔をしているかなんて、その時は分からなかった。
そしてそれから数刻後、
私の嬉し涙は絶望の涙になっていた。
あり得ない……
「い…い…いやぁぁぁぁ!!」
大声を張り上げた。
こんなに待って……
私は死人を待っていたの?
やだ、やだ…やだ……
私の最後の大切な……
「華月……」
裸足で駆け出し、死体の傍、地面に崩れ落ちた私の傍らに膝をついて、秀吉様が肩を抱いてくれた。
「お前の大切な人、守ってやれなくてすまない…」
愴怳(そうこう)とした声音。
肩に置かれた秀吉様の手にはギュッと力が入る。
「藤吉にぃ……何で?
何で戦をしてるの?
戦の無い世にするって言ったッッ‼︎
何でっ!何でっ、なんでぇ〜…まだ、戦…して……」
私は慟哭しながら秀吉様に掴みかかった。
彼の胸を叩き泣きじゃくった。