第30章 春待ちて氷柱落つー前ー(秀吉)
大切な人は戦に行った。
私はこの村を出て行く事も出来ず、待っていた。
2度季節が巡った。
何処でどうしているのか…
私は今、藤吉…いや、もう、秀吉様。
の御殿で大切な人の帰りを待っている。
「約束したよね…帰って来るって…
…春…春には帰って来るって……」
もうすぐ春が来る。
3度目の春。
雪が溶けてアナタが笑って帰って来る。
「……華月……消息がわかったぞ」
「本当?」
何処に駆り出されたのかも分からなくなっていた。
死んだのかも、生きているのかも。
たまたま私を見つけてくれた秀吉様の好意で此処に居候させてもらってはや1年。
探していた人が見つかった。