第26章 スモモも桃もモモのうちーR18ー(信長)
日が少しずつ傾いて来た頃、
「もう少し下れば宿場町だ」
老人の家を出発して山をひとつ超えたようだった。
民家が多くなり始めた、その道すがら。
「華月、上を見ろ」
「?」
「コレがお前の言う、季(スモモ)だ」
ガサッ、ガサッ、パサッ
木の葉を揺らして、もぎ取られた実は信長の手の中で光っていた。
「わぁ、綺麗な赤。
宝石みたいですねー。小さいし」
「どうだ、さっきのはスモモか?」
「んーー.桃らしいスモモ?」
「まだ、言い張るのだな。
喰えばわかるさ」
愉しそうに信長が笑った。
「本当のコトがな…クク……」
その小さな声は華月には届かないで風に消えた。