第26章 スモモも桃もモモのうちーR18ー(信長)
「ワシが育てました」
「先は店で桃の苗をうっていたのか」
「へぇ、この辺りは案外陽当たりも水捌けも良いので、桃には向いておりますが…どうも……」
老人は弱り果てたように項垂れ、頭を掻く。
「まぁ、すでに橘を育てている者も多かろうしな………」
老人が作ったという桃を、手の中でクルクルと弄んでいた信長だったが、
ガプッッ
「⁉︎…美味い。
夏の暑い時期に丁度良いな」
一口食べて、思いの外甘く瑞々しかったことに信長は驚いて感嘆した。
「これは、今まで食べたどの桃よりも、かなり甘く、水分も多く、美味である」
信長は満足げに老人を見て笑った。
再び馬に揺られながら宿を目指す。
その馬上で華月は首を捻っていた。