第20章 貴方へ贈り物 (三成)
華月様は、城の書庫から、私が頼んでいた書物を持って来てくれた。
「はい、コレで合ってるかな?」
いつも通り、ニコニコと私の前に座っている。
「はい、ありがとうございます」
気もそぞろにお遣いのお礼を言うと、
私は懐から紅を取り出し、差し出した。
「これ、私に?プレゼント⁉︎」
「プレ……?」
「あっ、贈り物?」
キラキラと大袈裟なくらい嬉しそうに言って、紅を受け取った。
「珍しい口紅だと…」
「わぁ…何色?光る緑色?塗ったら紅くなるの?」
興味津々で、口早に話、紅と私を交互に見る。
金緑、茶色味の黄緑色…表現の難しい色の口紅。
「そうですねぇ…。
磨いた銅みたいな色ですが、紅くなるそうですよ。
塗ってみましょうか」
(えーと…こう言う時、粋な言葉を言える政宗様が羨ましい…)
「え"っ!三成くんが?」
「え?」
驚いて私を見る華月様を、私も驚いて見た。