第19章 君へ贈り物 (義元)
街の喧騒から離れる。
(あ、あれは…)
「どうしたの?こんな処で」
僕の声に バッッと顔を上げた華月。
「え⁉︎…あ…義元さん」
知った人で良かった…みたいに、明らかにホッとした様子で、息を吐くと柔らかに笑った。
「暑いので一休みしてました」
遣いの帰りなのだろう。
「そっ、じゃぁ、扇いであげるよ」
僕は贈ろうと思って買った絹扇子を取り出した。
流れ、たなびく様に義元の左腕が振れ、
パラァン…と扇子が開いた。
柔らかな風が吹いたような動作に、
華月は目を奪われていた。
「わぁぁ〜…透けてて、美しい扇子ですね。
義元さんみたいに透明で、涼しそうな色っ」
華月が純粋に心から、うっとりと褒めてくれた。
(君は眩しいほど…可愛いね)
フッと笑みが溢れた。