第16章 愛を冷遇する者 R18ー後ー
「愛している、と言う言葉で、私を誤魔化してた。
現に、私を見て抱いてくれないじゃないですかっ。
謙信様はっ、見て見ぬふりで、
自分のことも誤魔化してる!」
苛立ちをぶち撒けた。
というより、止められなかった。
(溶かせない氷なら、叩き割るって決めた)
奥歯を噛み締めて、祈る思いで、
私は謙信様を見つめ続けた。
3度目の沈黙が訪れた。
短くて、長い。
長いようで、短い。
さっきよりも短い。
謙信様が視線を上げ、堂の奥を見た。
きっと、深呼吸をするくらいの短い間。