第16章 愛を冷遇する者 R18ー後ー
「んっ…はっっ…んっ…チュッッ、クチュッ」
深い口付けを送りながら、胸に置いた掌から熱と生きている鼓動を感じ取った。
そして、自分が激しく欲情しているという事実に戸惑った。
(人の軀はこんなにも…)
温かく、滑らかで、甘やかだったと知った。
「謙信様……」
焦がれるようで、媚びるような女の声で呼ばれ、華月の腕が背に回り、
軀を……柔らかな胸の膨らみを
密着させられた。
「ッ……」
「抱いて下さい」
ギュッッとしがみつかれ、
この女が、「抱かれたい」と意を決して口にしたのだと悟った。
「…もう、これで.最後だから……」
泣きそうな声、
この静けさでなければ、
聞き取れないだろう小さな声が、
そう言った。
そして、俺は、
その、小さ過ぎる声の恐怖に凍りついた。
(最後………)