第15章 愛を冷遇する者ー中ー
泣きながら、私は言葉を続けた。
「謙信様は「私」を愛しているんじゃない……私を通して、姫を想い、姫を見……
姫を……愛してるんです…。
私じゃない……私じゃ………」
姫を大切に想っていることは、
それでいい。
人には忘れられない想い出や、
大切な人がいるものだ。
そんな事、誰にでもあるものだ。
でもっ、
口では愛していると言いながら、
その愛は私でない向こう側の人に向けられていた。
(そんななら、最初から、誰かの代わりだと言われる方がマシだ)
『愛してないけれど側に置いて抱いてやる』
と言われたほうが諦めもついた。
「華月…俺は……」