第15章 愛を冷遇する者ー中ー
(馬鹿な……)
俺は刀から手を離した。
刀を持った手どころか、
全身から力が抜けてしまった。
(俺を、試すのか?華月が?)
クククク……
哂笑(しんしょう)が漏れた。
「お前は俺を理解し、受け入れたのではなかったのか。
そう思っていた俺は…誠に滑稽だな…クク…ッハハハハ」
この女は、
過去を、苦しみを、癒し、
解ってくれたと思っていた。
なのに、
(幻想だったのかーー……)
泣きたいのは俺の方だと言うのに、
華月は、噛み殺しながらも嗚咽を漏らし、啜り泣く。
※惨痛…さんつう/悲しみ痛む。
※哂笑…あざけり笑うこと。