第15章 愛を冷遇する者ー中ー
『華月を通して姫を見、
姫を通して自分を責罰し、
赦しを乞おうと苦しむ』
信玄様が、いつか 話してくれた。
私がここに連れて来られてすぐの頃。
『お前はいつまであんな行為を彼女に強いるんだ。
あんな事を続けても何も変わらないし、
続きもしない。
…お前に縛られている姫もあの子も、
そしてお前も哀れだな……』
私と謙信様の行為を、たまたま見てしまったことから、
いつも、歪んだ方法で行為をしている事に感づいた信玄様が、謙信様に苦言を呈しているのを、私は偶然にも耳にした。