第14章 愛を冷遇する者 R18ー前ー(謙信)
彼が見ているのは、
かの姫君。
彼は生きていることに苦しんで、
快楽を感じることを拒もうとしている。
過去の事件に捕われて、まだ闇の中を歩いている。
(真実は解ったのに……)
「っく……あぁ……」
苦しそうに、息を吐く。
(私には、アナタを救えないの?
今、現在に、引き戻してあげられないの?)
心が痛くてーー……
涙が溢れる。
(いつまで苦しむの?
アナタのせいじゃない。
アレは大人の、政治の、事情だったじゃない…
なのに、なのにっ……)
涙が止まらない。