第14章 愛を冷遇する者 R18ー前ー(謙信)
爪先で立つ不安定な華月が揺れると、
真紅の紐が欄間に擦れてキシッ…と音を立てる。
「ゃぁ…ぅんぁ…はっぁ、はっ…ぁぁ…」
気持ち良さそうでいて、どこか苦しげな息を吐いて、濡れた声を漏らし、
軀を震わせている。
(子ウサギのように…)
腕を絡め、縛っている紐は、
(赤く流れる血のように…)
「…ああ…俺は……」
(罪を背負って…)
愛しては、愛されては、
ならない。
それなのに惹かれて止まない。
だから、こうやって、顔を見ずに
軀だけを愛でる。
軀だけなら、いつでも切り捨てられる。
(俺もお前も、心を奪われる事がないようにーー……)