第14章 愛を冷遇する者 R18ー前ー(謙信)
「っんっ…はっっ、あっ…けん…さ…ぁぁん」
シャン、シャン…シャラン…
身を捩る毎、手首で鈴が鳴る。
緻密に彫られた美しい欄間。
吉祥天へと向かう龍が彫り出されている。
美しくも荘厳な欄間に、
不釣合いな真紅の紐が通されている。
両方に開け放たれた襖の真ん中。
挙げた両腕に真紅の紐を巻き付け、
縛り上げられ、爪先でなんとか立っている全裸の女。
真紅の紐の端には、小さな鈴がついていて、
腕に交差された紐は、紅い幾何学模様を描いて手首で蝶々に結ばれている。