▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第6章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *伊達政宗ルート*
「…おい、ハナ?どうした、ちゃんと息を吐け」
「ふっ…うんっ…そう、する…からっはぁ…政宗、離して…」
「断る。お前は相変わらず抱き心地がいいな…癖になりそうだ」
耳元で楽し気な笑い声を漏らす政宗の声を、ハナは涙目になり聞いていた。
「もうっ…本当に、許して―――…?」
不意に、ハナの声が途切れた。
政宗は相変わらず、ハナを抱きしめて離してくれない。
しかし、気付けば政宗の手が、あやすようにハナの背中を優しく叩いてくれていた。
その手の拍子に息を合わせていくうちに、徐々にハナの呼吸も落ち着いていった。
「……は、ふぅ―――…はぁ」
「落ち着いたか?」
「…うん……あ、ありがとう…政宗」
―――ドクドクドクドクッ
鼓動は相変わらずだが、ひとまず呼吸は取り戻した。
ハナはホッと力が抜けてしまい、政宗の肩に頭を預けた。
政宗は何も言わず、ただ優しくハナの体を抱きしめ、その背中を撫で続けてくれていた。
政宗から伝わる体温がひどく心地よく、瞳を閉じて甘んじる。
「…なんだか懐かしい感じ…」
「そうか?」
「…小さい頃、こうやってお母さんに甘えてたなぁって…」
耳元で、政宗の吹き出すような笑い声を聞いた。
「父親飛び越して、母親かよ…」
「あ…」
気まずくなって、ハナは完全に顔をあげるタイミングを見失った。
しかし、それはすぐに政宗からもたらされた。
「―――…生憎だがな」
片手で顎を持ち上げられ、ハナの顔が正面から政宗に見つめられる。
口元には笑みが浮かんでいるが、その蒼い隻眼は真摯そのもので…背筋が震えるほどに、鋭い光を宿していた。
「俺はお前を、子ども扱いしてやるつもりはない」
「政宗っ―――」
「目を逸らすなよ、ハナ……俺を見ろ」
まさに視線を彷徨わせそうになったハナに対して、政宗が先手を打つ。
ハナは退路を失った。
全身が石になってしまったかのように自由が利かず、ハナは言われるがまま、政宗を見つめた。