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▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)

第6章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *伊達政宗ルート*



閉じた目元を、長い睫毛が縁取っている。

いつも楽し気に笑みを浮かべる唇は、今は脱力して僅かに開いている。
それが妙に色気を醸し、目のやり場に困ってしまう。

戦ともなれば先陣を切りたがる、好戦的な顔とはまるで別人のよう…
その寝顔は、どこかあどけなかった。



―――トクン



心臓が一度だけ、大きく駆けた。
ハナは政宗を起こさないよう、恐々小さく息をついた。

再び、政宗を見遣る。



(……もっと、側で見ていたい)



―――トクトクトクトク…



鼓動が徐々に速度を上げる。
耳の奥で響くそれが、政宗の眠りを妨げるのではないかと本気で思う。

―――起きる気配はないのだけれど。

せめて音を立てないように気を付けて、ハナはそっと政宗の正面に座り込んだ。
間近で政宗の顔を覗き込むと、否が応にも、思い出してしまうことがある。



(政宗と出会ってから、唇を奪われてばっかりだな、私…)



武将として乱世に生を受けた運命(さだめ)だろうか。
政宗の生き方はどこか刹那的だ。

思いついたら、即行動。
どんな状況下でも楽しむ姿勢に、ハナは幾度も心を救われた。
けれども同時に、どこか切ない思いもあった。



『お前の笑顔が、可愛かったからな』



そう言って笑う政宗が脳裏をよぎる。
政宗にとっては、全てがその一瞬の気まぐれに思われた。
そこから続く未来は、政宗の中にはないのだろうか…。

「その先を期待するのは、我儘なのかな…」

つい、言葉が口をついて出る。
穏やかに繰り返される政宗の呼吸の音が、ハナの耳を優しく擽る。
その、僅かに開いた唇に目が吸い寄せられた。

(今日の私は…やっぱりおかしい…)

鼓動は治まることを知らず、早鐘を打ち続ける。
顔が紅潮するのを感じる。

(いつものお返し、するだけだから)

政宗の顔にゆっくり近づく。
そうして、静かに瞳を閉じて…










政宗の唇に自分のそれを、そっと重ねた。










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