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第5章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *徳川家康ルート*
―――ドクンッ
「―――っ!」
不整脈のように、心臓が突然拍動を強め、痛みに似た息苦しさを感じ家康は目を開けた。
頬に、ハナのほっそりした掌が宛がわれ、触れた部分から熱が全身に広がっていく。
―――ドクドクドクドクッ
戦場でも感じたことがないほど拍動が、胸から全身から響いていた。
「……っはぁ…。まずは、興奮作用から…俺の読みは当たってたとして…っ」
熱に浮かされた目で、家康はハナの顔を見た。
「い、家康……そのっ…大丈、夫?」
真っ赤な顔をして、恥ずかしそうに瞳を逸らすハナがいた。
おそらく、自分の顔も同じように赤いのだろう…ぼんやりそんなことを考えていた。
「ハナ、ほら……現状報告。今、何を感じてる?」
「―――…家康に触れてから…すごく、甘い香りがしてる…」
「それから…?」
「―――っ!」
ハナは下唇を噛み締めて、必死に何かに耐えているようだった。
「…そんな顔して…恥ずかしいこと、考えてる?」
「……うん、感じてる」
逸らした瞳を家康に向け、ハナがそっと応えてくれる。
それがあまりにいじらしくて…。
―――素直に、愛おしいと口にできたら…。
「言っとくけど、薬のせいだから……気にするだけ損するよ」
―――そのとおりだが、そうじゃない。
相変わらず言う事を聞かない自分の言葉に、家康は内心、歯噛みした。
ちらりとハナの顔を見る。
家康の言葉に、ハナが困ったような硬い笑みを浮かべていた。
「…それで?俺がこうなったのは、なんでだと思う?」
「―――家康、私……自惚れていいのかな?」
頬に触れるハナの手が、やはりわずかに震えている。
「……あんたなら、信じてくれるの?」
「―――信じ、たいよ!」
ハナの言葉に、家康の口元にふっと小さな笑みが浮かぶ。
「……素直だね」
真っ赤に染まった、柔らかそうなその頬に、家康の右手がそっと添えられた。