▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第5章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *徳川家康ルート*
家康の御殿、その自室で、御殿の主が何かを書き付ける姿があった。
右手に筆を、そしてその左手には、飾り細工の施された小瓶。
中には、赤い液体がゆらゆら妖しく揺らめいていた。
一通り書き付けが済むと、家康はふぅと溜息を付き、小瓶の蓋をそっと開いた。
途端に溢れる、甘い華の蜜の香り。
あまりに濃厚な香りに、家康の眉間に皺が深く刻まれる。
「ほんと、やっかいな薬…」
嫌悪とも、感嘆とも取れない声音で呟き、再びきつく蓋を閉じた。
小瓶を懐へしまいこみ、甘い匂いの立ち込めた部屋の襖を開け放ち、庭へと出ていく。
少々、香りに当たったか。
軽い眩暈とともに、脳裏に一人の姿が浮かんで離れない。
外の空気を思い切り吸い込み、深い溜息を共に吐き出した。