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第5章 ▼華ニハ蜜ヲ△ *徳川家康ルート*
秀吉の御殿へ着くと、ハナはすぐに秀吉の部屋の前まで通された。
「秀吉さん、入っていい?」
「ん?その声は、ハナか?」
廊下から襖越しに声をかけると、内側からがらりと開けられ、秀吉の人好きのする笑顔が見えた。
その笑顔に釣られて、ハナの顔にも笑顔が浮かぶ。
「おはようございます、秀吉さん!」
「おう、おはよう!ずいぶん早いな!」
部屋へと招き入れられると、微かに紫煙の香りがした。
見れば、煙管から一筋の煙が立ち上っている。
「悪いな…この匂いは苦手か?」
「ううん、大丈夫!」
そう答えると、秀吉は柔らかく微笑み、煙管を片手に文机前に腰掛ける。
「んで?今朝はどうしたんだ?」
秀吉の前にハナも正座すると、風呂敷から秀吉宛ての書状を取り出した。
「信長様からお遣いを頼まれて、みんなに書状を届けて回ってるの。これが秀吉さんの分!」
「朝から悪いな……御館様も、書状を書かずとも登城をお許しくだされば良いのに…」
溜息とともにふぅっと紫煙を燻らせ、秀吉はガサガサ音を立てて信長からの書状を繰り広げる。
そんな秀吉を、何やらそわそわとした様子でハナが見ていることに気づいた。
「…ハナ?どうかしたか?」
「……実は、もう一つ信長様からの命があって……」
ハナは秀吉に、書状を目の前で読ませること、それぞれの指示に従うことを命じられたことを伝えた。
「それで、秀吉さんの書状には何が書いてあるのかなって…」
「そういうことか…いや、とはいっても、な?」
秀吉は苦笑しながら、書状の文面をハナに見せた。
「御館様が俺に下さった命はこれだけだ」
書状を見つめ、ハナは申し訳なさそうな顔で秀吉を見た。
「ごめん、秀吉さん…読めない」
「―――…あぁ、そうか。悪い悪い!俺への命はな…これだ」
そういうと、秀吉の大きな温かい手がハナの頭にそっと置かれた。
「え…秀吉さん?」
「いつも城や俺たちのために、尽くしてくれてありがとうな?」
そう言うと、優しく髪を梳いた。